アンテナ

2004年2月21日 読書
先日渋谷で見た映画「アンテナ」の原作を読んだ。
正直きっつい内容。
表面的に読んでいると嫌〜な気持ちになってくる。
田口ランディ独特の精神世界っていうか、正気と狂気の狭間をいったりきたりという感じ。
これは好き嫌いがはっきりする。
そして、どうしても性的な描写に目がいきがちになる。
人間の根源がそうだといえば、それまでだけどね。
ただ、この物語の奥底に流れるテーマはまた別にあると思う。
主人公の苦悩。
そして、生きていくにはその苦悩を乗り越えるのではなく、受け入れるという選択をしたような主人公の生活。
そして、人と人とのつながり。
それを特殊な見方で見るとこんなふうになるのかと思った。
物語の中で、印象的なシーンがあった。
「ただ、あなたを潤しますように、って祈りながらコップについで、あなたの前におくの。それだけ。どう?おいしい?」
「おいしい。こんなおいしい水を飲んだのは生まれて初めてかもしれない。」
これは、コンビニで買ってきたミネラルウォーターを特別な水のように思えた主人公が相手の女性に注いでもらってるところ。
なんとなく素敵なシーンですよね。
こういう何気ない場面が書けるのは田口ランディの作品のいいところのような気がする。
映画で見るのとは少し違うシーンがあったけど、まぁがんばって最後まで読むと、それなりに心に残る本だった。

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