悲しいこと

2003年11月16日
今日の東京競馬4R新馬戦でデビューしたナムラニョライ。
好スタートから先行争いして2番手を追走していたその矢先。
4コーナーでオーロラビジョンに映されたもの、それは悲鳴を上げながら失速し、次々と他馬に抜かれていく彼の姿だった。
競走馬に故障はつき物。
でも、それが「死」ととなり合わせなのは本当に悲しい。
そして怖い。
ナムラニョライは北海道で親しくして下さってる八田ファームの産駒。
牧場の社長と奥さんが大切に育てた馬。
奥さんは馬のお産婆さんで、多分、この馬を取り上げたときも、無事に育ってほしいと思ってたに違いない。
パドックではじめて見た彼は、ものめずらしそうに周りを見渡して、そしてゆっくり歩き始めた。
それが悲劇への第一歩だとは全く気づかずに。
たまに厩務員さんに甘えるしぐさをしてたのは、まるで同厩舎の大先輩いとこのナムラマイカに似てた気がする。
彼女もまた、今日東京でのレースがあった(11着惨敗)ので、帯同してきたのだろうが、調教師の福島先生にとっても散々な日だったろう。
光る緑の芝が風になびくその向こうのダートコースで大歓声にかき消された彼の悲鳴が、なぜだか聞こえた気がした。
ゴール前で彼を迎えようと待っていたけど、その様子をオーロラビジョンで見たとき、もうすでに500m以上も先の4コーナーへ向かって走り出していた。
すぐ近くまで寄れるところにはいないのは、わかってる。
でも、そうしないではいられなかった。
深手を負った馬は、その場で安楽死させられる。
そのときはシートがはられ、観客席から見えないようにするのだが、彼は自分の足で馬運車に引かれていったように見えた。
でも、もし競争能力を失っていたなら、このまま引退。
下手すれば安楽死。
明日にならないと詳しいことは分からないけど、軽い怪我ですんでいて欲しい。
そうでなければ、彼は何のために生まれてきたのか。
とてもやるせない日曜日だった。

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